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食事・風呂・送迎も"無料"で提供 不登校などさまざまな事情抱える子どもに「第三の居場所」 山形

貧困や不登校などで家庭や学校に自分の居場所がないと感じる子どもが、安心して過ごせる「第三の居場所」を作る取り組みが山形市で始まった。支援を必要とする子どもの姿は表立ってはあまり見えないが、県内でも年々確実に増え続けている。

山形市西田に10月1日にオープンした、県内初の「子ども第三の居場所ミニまる」。
毎日、午後2時を過ぎると...。

(子ども)
「ただいま!」

やってきたのは、小学生の男の子。
かけ声はみんな、「お邪魔します」ではなく「ただいま」。そして職員は「おかえりなさい」とあたたかく迎え入れる。

夕方には、このにぎわい。
ここにいる全員が、なんらかの事情を抱えてミニまるを利用している子どもたち。

「いただきます」

ミニまるは、小学校低学年が対象の民間の子ども支援施設。
子どもたちは、学校からまっすぐミニまるに帰ってきたら、友だちや職員と遊び、みんなで一緒にご飯を食べる。
この日の晩ご飯はチャーハン。
お風呂にも入り、夜になったら職員が自宅まで車で送ってくれる。

1日に利用できる子どもの上限は、20人。
利用するには「事前の予約」「面談」が必要だが、日本財団の支援を受けて10月にオープンしたこの施設の利用料は、食費も含めて"無料"。

(利用者)
「夜、仕事で遅くなることがあるので本当に助かる。とにかく楽しそうで、家よりミニまるでご飯を食べたいと言っている。すごい施設」

(NPO法人プチユナイテッドアスリートクラブ・荒木秀和事務局長)
「1人で寂しく家にいて、ポツンとしているんだったら、仲間がいて、みんなでご飯食べてお風呂入って...ができる場所。居場所だと思っています」

ミニまるにやってくるのは、経済的な貧困や不登校・引きこもり・障がい児、両親が共働きで家でご飯が食べられないなど、さまざまな事情を抱えた子どもたち。

運営するNPO法人「プチユナイテッドアスリートクラブ」の荒木さんたちは、彼らの"普通の暮らし"をサポートするのが仕事。

(NPO法人プチユナイテッドアスリートクラブ・荒木秀和事務局長)
「ご飯はみんなで楽しく食べる...当たり前を当たり前にできる生活。世の中には"普通"を知らない子もたくさんいる。そのまま大人になったら同じことの"負の連鎖"になるので、そこに何とか歯止めをかけたい」

そんなミニまるで、特に子どもたちに人気を集めているのが、荒木さんの長女でNPO法人の福祉部門を統括する渡部法子さん(30)。

じつは、荒木さん一家が子どもたちの支援を始めたのは約15年前、当時中学生だった法子さんの"ある行動"がきっかけだった。

(福祉部門統括・渡部法子さん)
「困ってる人を放っておけないという、ただそれだけですね。自宅に帰ってもご飯がない。一緒に家族とご飯を食べる環境にない子どもたちが多かったので、"一緒に帰って食べよう"と、そんな難しい話でもなく」

法子さんは、当時住んでいた米沢市の自宅にたくさんの友だちを連れてきた。
家族と折り合いが悪く、家にも学校にも居場所がなくショッピングセンターなどで時間をつぶすしかない子どもたち。
法子さんは、自宅に連れて行ってはご飯を食べさせたり、泊まらせたりした。
多い時には一度に10人以上が家で寝泊りしたそう。

(福祉部門統括・渡部法子さん)
「母は言うほど驚きもせずに、『ご飯食べなさい』と。父も『いらっしゃい』という感じで、2人ともあまり驚かなかった」

荒木さんは当時、山形県警の警察官だった。

(NPO法人プチユナイテッドアスリートクラブ・荒木秀和事務局長)
「家に帰るじゃないですか。そうするといっぱい『おかえり』って言われる。じゃあ『ただいま』そんな感じです」

それから約15年。
のべ何百人もの子どもたちを受け入れてきた荒木さん一家の挑戦は、NPO法人に形を変え、子どもたちへの支援を続けてきた。

9年前、学校に通えない子どもを支援するためのフリースクール「あにまる」を開校。
しかし、その運営には厳しい現実が突きつけられる。

現在、フリースクールの登録者数は100人を超えるが、フリースクールの運営には自治体からの補助金が出ないという。
保護者から寄せられる学費だけでは、年間数百万円かかる運営費にはほど遠く、フットサルクラブなどほかの事業の収益で赤字を埋め、県内の苦しい子どもたちを支えてきた。

(NPO法人プチユナイテッドアスリートクラブ・荒木秀和事務局長)
「歯を食いしばってやってきた。方針・考え方・やってることは間違っていない。続けることに力を入れてきた」

そして2025年、荒木さん一家の努力が認められた。
日本財団から、人や社会に尽力してきた人に贈られる社会貢献者表彰を受けた。

そして、日本財団の全面支援を受けて10月にオープンしたのが、「子ども第三の居場所ミニまる」。
運営にかかる年間2000万円の費用は、全て日本財団が負担する。

貧困やネグレクトなど、子どもをめぐる問題はなかなか表に出ず、山形市もその数を把握しきれていないのが実情。
荒木さんはこれまでの経験上、いま手助けできている子どもたちは「支援を必要とする子どもの2割程度にすぎないのではないか」と考えている。

(NPO法人プチユナイテッドアスリートクラブ・荒木秀和事務局長)
「いろいろな我慢をしなきゃいけない子が少なくなっていけばいい。大人の事情で子どもが『できない』というのは避けたいです」

(福祉部門統括・渡部法子さん)
「子どもたちがどうやったら笑ってくれるかな、どうやったら抜け出せるかなと考えて、子どもたちが闇から抜け出せた時に、ちゃんとした笑顔を見れるっていうのが私の楽しみ」

こうした「子ども第三の居場所」の存在を知らない人も多いかもしれない。
「子ども第三の居場所」は日本財団の主導で全国に広がっていて、9月時点で全国に約280カ所あり、地域のNPO法人が運営する形。
ミニまるは、保護者の育児サポートをする面もある。事情のある家庭を支援する事業もあるそうなので、子育ての悩みで孤立せず相談してみてほしい。