鳥獣被害の中でもイノシシが最も多い・被害額2億1300万円(2025年度) 被害深刻 山形・酒田市
県内では野生鳥獣による農作物の被害が深刻。なかでも被害額が最も多いのはクマではなく、何とイノシシ。被害に悩む酒田市の農家を取材した。
酒田市の山間部・小林地区でソバ栽培を行う工藤真義さん。
7月中旬、工藤さんが夏ソバの収穫を終えた畑を訪れ、鳥獣被害の確認作業を始めた。
(工藤真義さん)
「ここはイノシシからつぶされてない、刈り取りの跡が立っている」
刈り取りを終えた畑。その一方...。
(工藤真義さん)
「ここは一面つぶされた畑。この状態では刈り取れない、つぶされてしまって。ここに関しては収穫量がゼロになる」
工藤さんは15年前から水田の転作としてソバを栽培。
7月に収穫を迎えた夏ソバ3.5ヘクタールのうち、約1.5ヘクタールがイノシシの被害を受けた。
一方、サツマイモを植えていたという畑を見てみると。
(工藤真義さん)
「おそらくきょうのイノシシの足跡。サツマイモをここには100本植えていたが、実がつく前に全部この通り」
イノシシは鼻で土を掘り返しながらエサを探す習性に加え、ソバやイネを踏み倒し、畔(あぜ)や水路も壊すことからその被害は甚大。
(工藤真義さん)
「畦畔(けいはん・あぜ)を壊して水路を壊すところもある。個人では対応できないほどの莫大なお金が毎年かかる」
工藤さんが管理する山間部のソバ畑は田んぼ250枚分で、面積にして20ヘクタール。
その全てに電気柵を設置することは不可能で、見回りにも限界があるという。
県によると、2025年度の鳥獣による被害金額は5億9200万円で、前の年の約1.7倍となった。
内訳はイノシシの被害が最も多くクマの倍以上で、被害額は2億1300万を超えている。
7月7日には、酒田市小泉で県内初となるイノシシの緊急銃猟も実施された。
(工藤真義さん)
「やっぱりイノシシ被害で収穫がゼロに等しくなると、はっきり言って何のためにやっているのかと思う。収入がなければ続ける意味もない。どうやって守っていけばいいのかわからなくなる」
収穫間際の農作物に被害を与え生産者の心を折る鳥獣被害。
農家の営農意欲の低下は大きな課題で、安心して農作物を育てられる環境づくりが求められている。
工藤さんは「自分が農業をやめれば平野部にイノシシがエサを求めて下りていく。今は防波堤の役割も担っていると思い頑張っている」と話していた。
そうした農家の努力にも限界がある。地域と行政の一体となった対策が求められそう。