「コメの晩植栽培」の成果に注目集まる・卒業論文発表会...7月の晩植栽培は減収 山形・県立農林大学校
新庄市の県立農林大学校で、卒業論文の発表会が開かれた。通常よりも遅く7月に田植えをするという「コメの晩植栽培」に挑戦した学生もいて、その成果が注目された。
県立農林大学校では毎年この時期、翌年に卒業を控えた2年生がこれまでの研究成果を論文にして発表している。
2025年の2年生は39人で、約半数が就農を目指し、4月から新たな一歩を踏み出す。
発表会は16日から2日間にわたって行われ、このうち稲作経営学科からは17日、4人が演壇に立った。
黒澤碧佐さんは、開学以来初めてとなる「はえぬきの晩植栽培」に取り組んだ。
(稲作経営学科2年・黒澤碧佐さん/東京出身)
「今回田植えをしたのは、左奥から5月16日、6月2日、6月16日、7月2日。4つの作期に分けて試験を行っています」
地球温暖化による猛暑が深刻化する中、登熟期を秋に近づければ高温障害を回避でき、収穫時期の分散によって経営の効率化も図られると考えた。
(稲作経営学科2年・黒澤碧佐さん/東京出身)
「収量は一番最初(5月16日)、例年通りに植えたのが一番多くなると思うが、今年の夏もけっこう暑い時期があったので、もしかしたら遅らせて植えた稲の方が品質が良いという結果になるかもしれない」
あれから3カ月。結果はこうなった。
(稲作経営学科2年・黒澤碧佐さん/東京出身)
「7月の晩植栽培は減収し現実的ではないが、6月半ばまでに田植えを行うことで、高温障害を回避するという面においては有効な手段と考える。しかし、経済的な田植え時期の限界を調べるためにも、継続的な調査が必要」
コメ農家を取り巻く環境はいま大きく変わり、経営を維持していくための「課題解決」が大きなテーマ。
先生や助言者は期待を込める。
(助言者)
「自分でコメを作ってみて大変だったと思う。苦労したことを忘れないように卒業してからも頑張ってほしい」
発表会は17日で終了し、成績上位者は1月に岩手で開かれる「東日本農業大学校等プロジェクト発表会」に参加する。