稲刈りが始まりまもなく食卓には新米が並ぶ。依然コメ価格が高止まりするなか、どんな価格で販売され、どのくらいの量が流通するのだろう。
東京・目黒区でコメ店を営む五ツ星お米マイスターの西島豊造さんは、全国のコメを取り扱うコメのプロ。
店ではすでに一部の銘柄で新米の販売が始まっているが、仕入れ価格が上がっているため、高値で販売せざるを得ない状況だという。
(スズノブ・西島豊造さん)
「週末のお客の動きを見ても、新米の値段にびっくりして去年の令和6年産のコメをほとんどの人が買っていく。新米を買う人は新米のラインナップの中で一番安い値段のものを買う」
気になるのが県産の新米がどのくらいの価格で販売されるのか。
JA全農は農家に払う前払い金である「概算金」を、「はえぬき」「雪若丸」「つや姫」いずれも2024年より1万1500円アップ。
率にして59%~70%上昇している。
これをもとに2024年の新米価格から2025年の5キロの値段を単純計算すると...
はえぬき 5349円
雪若丸 5978円
つや姫 6169円 ...という高値に。
県外では、すでに4000円台半ばで店頭に並ぶ新米もあるなか、JA関係者「概算金の上昇分をそのまま反映させると、消費者が購入できる水準の価格でなくなる可能性がある。それをどうするのか頭を悩ませている」としている。
(スズノブ・西島豊造さん)
「去年は完全にコメがなかったので新米を待っていた。新米が高くてもうれしかった。今は新米が高い、でも隠されている令和6年産・備蓄米が出るまで倉庫に眠っていた備蓄米が消費地にはん濫している。山積み」
2024年の"コメ不足のなかでの新米の時期"とは一変、2025年は"市場にコメがあふれるなかで迎えた新米の季節"。
西島さんは、コメの価格が上がっているからこそ、値段を優先する消費者が増えたと実感している。
(スズノブ・西島豊造さん)
「消費者が"ブランド"で買うのか、"産地・品質・好み"で買うのか。今は"価格"で買っている、そこが変わってきた。高いからこそ産地・品質ではなく"価格"を優先する。そのときに値段が上がった産地は置いていかれている」
さらに、新米の流通についても課題を指摘する。
(スズノブ・西島豊造さん)
「6割の山形のコメが"青田買い"されている。生産者と消費者またはバイヤーに売られてしまっていて、JAに入ってくるコメは4割程度しかない。まともに自分たちで店の棚を用意していても来ない可能性が強いと言われている」
県内でも稲刈りが始まり、まもなく新米が店頭に並ぶ時期だが、コメの価格と流通をめぐる問題はまだまだ長引きそうだ。