県警はドローンを扱う民間の団体と、山岳遭難や災害発生時の捜索活動について協定を結んだ。ドローンを活用して迅速な人命救助につなげる考えだ。
県警が協定を結んだのは、ドローンに関する人材育成や災害発生時の調査協力などを行う山形ドローン協会協同組合。
19日の締結式には、ドローン協会の加藤祐一代表理事と県警の水庭誠一郎本部長が出席し、ドローンを使った警察活動支援について協定書を交わした。
今回の協定は山岳遭難が発生した際、ドローンで上空からの捜索に当たるほか、災害時の人命救助・市街地にクマなどが出没した際の状況調査など、警察のさまざまな活動を支援するもの。
(県警本部生活安全部地域課・氏家泰彦次長)
「小回りが利いて低空からの捜索もできることで、いろいろな事案に対応できる。早く位置特定ができて早く救助できれば、それだけ命が助かる可能性も高まる」
(ドローン協会協同組合・加藤祐一代表理事)
「人命救助の経験・災害現場の経験もあるので、地の利は熟知している。その経験を生かした初動態勢が課せられた課題だと思う」
また、協会の組合員が実際にドローンを飛ばし、山菜採り中に動けなくなった遭難者を探す想定で、デモンストレーションも行われた。
地上からの捜索活動では、生い茂る草木が遭難者を見つける妨げとなるのに加え、川や斜面などの地形により移動にも時間がかかる。
しかし、ドローンはそれらの影響を受けずに広範囲を一気に捜索できる。
人の体温を感知するサーモカメラや暗視カメラを使うことで、迅速な遭難者の発見・救助が期待される。
(ドローン協会協同組合・加藤祐一代表理事)
「ヘリコプターとドローンの違いは、低空で撮影・捜索ができるというメリットに尽きる。私どもが使っているドローンに関しては温度センサーがついているので、人間の体温・周辺の温度差でいち早く捜索できる」
県警によると、2024年に県内で起きた山岳遭難は計69件。
そのうち8人が死亡し、3人が行方不明となっている。
県警は、慣れた山でも天候を確認すること、携帯電話や食料を持つなど事前の備えをするよう注意を呼びかけている。