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<伝統工芸>アメリカ人の織り手が加わり技術と誇りを承継・新庄亀綾織に新たな一歩 山形・新庄市 10/ 2

“幻の織物”と呼ばれる「新庄亀綾織」の生産が、今でも新庄市で続けられている。工房にはことしアメリカ人の織り手が加わり、技術と誇りの承継に新たな一歩を踏み出した。

新庄亀綾織は江戸時代に生産が始まった手織りの絹織物。
新庄藩では特産品として生産が奨励されたものの、戊辰戦争で用具が焼失したり、その後、再開されてもコストが高く途絶えるなど“幻の織物”と呼ばれていた。

その後、新庄亀綾織は1980年代に復活。
気品ある光沢としなやかな手触りが特徴のこの絹織物は、機械化が難しく“手織り”にこだわって生産を細々と続けている。

「新庄亀綾織」の工房。
以前は新庄市の別の場所にあったが、2025年2月に市の中心部に移転した。

(新庄亀綾織伝承協会・沓澤沙優里事務局長)
「新庄市のエコロジーガーデンで活動していたが、朝9時~午後5時までしか利用できず、ここに移転することを決めた」

移転費用の半分はクラウドファンディングと地元の人の寄付によるもの。
新しい工房では時間の制限がなくなり、織り手の作業がスムーズになった。

また工房が入るビルの1階にはショップも新たにオープンした。
新庄亀綾織の紹介をはじめ、新庄・最上地域を中心とした県内の工芸品約500点を集め展示・販売している。

(新庄亀綾織伝承協会・沓澤沙優里事務局長)
「今まで新庄亀綾織の反物や帯・小物を作っていても、『どこに行ったら見られるの?』という声がすごく多く、一度に見せる場所がほしかったのがひとつ」

県内の土産物店でも取り扱いがない商品が多く集まっていることもあり、最近では客が増えてきているという。

(新庄亀綾織伝承協会・沓澤沙優里事務局長)
「新庄亀綾織を知るきっかけにしたいが、ここを新庄市の“観光の拠点”にしていきたいという思いがある」

(ジェードさん)
「なぜ糸を4本しかとらないんですか?」

(木都老渚さん)
「指で4本しかはさめないからです。指で糸を順番に持って、間違えないように…」

アメリカ・カリフォルニアから新庄亀綾織の門をたたき、織り手として活動しているジェード・スカイ・ヒメネズさん(30)。

ジェードさんは21歳だった2016年から5年間、群馬の小・中学校で外国語指導助手として来日。
契約期間が終わった後はアメリカに戻っていたが、自分の手で「織物を織ってみたい」と調べた結果、新庄亀綾織にたどり着いたという。

(新庄亀綾織伝承協会 ジェード・スカイ・ヒメネズさん)
「自分は着物が大好きで、伝統工芸に憧れがあって、自分の手で携わっていきたいと思った」

30歳になった2025年7月に再び来日し、8月から新庄市の「地域おこし協力隊」のメンバーに加わって新庄亀綾織の織り手になったジェードさん。
先輩の木都老渚さんから織り方を学んでいる。

(木都老渚さん)
「教えたらすぐ出来るようになってくれるので、あっという間に一人でできるようになると思う」

(新庄亀綾織伝承協会 ジェード・スカイ・ヒメネズさん)
「うれしいですね。いい先生がいたおかげで素早く頭に入ってきます」

ジェードさんは今、長さ1.5メートルの織物を制作中。
その後、高い織物技術が求められる新庄亀綾織に挑戦する予定。

(新庄亀綾織伝承協会 ジェード・スカイ・ヒメネズさん)
「自分の手で着物と帯を作りたくて、着る人が喜ぶ顔を見て新庄亀綾織・新庄の誇りになるものを作っていきたい」

技術と誇りの承継、新庄亀綾織は新たな道を歩み出した。

新庄亀綾織伝承協会の織り手はジェードさんを含めて6人で、そのうち3人は県外で独自に活動をしている。伝承協会ではさらに織り手を増やそうと育成に力を入れていて、随時織り手を募集しているという。



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