猛暑と雨不足による農作物の被害が深刻。山辺町の棚田では、稲が穂を出す出穂期に沢水が少なくなり、生育に影響が出ないか心配されている。
山辺町大蕨地区。
「日本の棚田100選」にも選ばれているこの棚田では、2011年から生産者グループ「農夫の会」と地域の農家などが一緒にコメを育てている。
しかし4日に棚田を訪れると、猛暑と長引く雨不足で異変が起きていた。
(リポート)
「7月31日に穂が出て、今は白い花が咲いています。この時期、本来であれば根元1~2センチほどに水がたまっていなければいけないそうですが、現在はこのように暑さと水不足の影響で土が乾いてひび割れています」
水が足りず一部が干上がってしまった田んぼ。
農夫の会の稲村さんもこのような光景は目にしたことがないと話す。
(グループ農夫の会・稲村和之代表)
「もう初めての経験。今の時期、穂が出てきて花が咲いて、穂が出そろう1週間~10日間は非常に水がほしい。どんな影響が出てきて、我々もかつて経験したことがない被害になってくるのではないかと心配していて夜も眠れない状態」
10ヘクタールある大蕨の棚田の水源はほとんどが沢水。
しかし7月にほとんど雨が降らなかったため、「農夫の会」は貴重な沢水をなんとか引き入れたり、ポンプで水を汲んだりするなど対応を続けてきた。
しかし7月中旬、管理する2.5ヘクタールのうち約3分の1の田んぼが干上がってしまったという。
(グループ農夫の会・稲村和之代表)
「(Q.待っているのは?)雨です。天の恵み。『早く降らせてくれ』と。稲が水をほしがっているので、『稲に水を与えてください』そういう気持ちです」
穂が出る今の時期に水を張ることができないと、品質の低下はもちろん実らない可能性もある。
県内は6日からまとまった雨が降る予報だが、それで十分な水の量を確保できるかは不透明。
自然が育んだ棚田の文化を守るため。
稲村さんをはじめ生産者グループはあの手この手で水の確保に向け汗を流し続けている。
(グループ農夫の会・稲村和之代表)
「棚田は段々畑みたいに昔の先人たちが切り開いた田んぼ。水源は山水・湧き水に自然の雨水をうまく活用して、地域の人たちが水を分け合ってコメを育ててきた文化。その文化が危機に瀕している」