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郷愁の原風景 たった一人で「茅葺き」を守り続ける男性 山形県米沢市 9/ 3

山形県米沢市の山間にある集落で、自分が生まれた育った茅葺き住宅を一人で手入れし、「原風景」を守り続ける男性がいる。その思いを聞いた。

(作業)「ここはもう少し入れたほうがいいな」

真新しい「茅」が次々と差し込まれていく。築100年を超える家の屋根でたった一人。黙々と葺き替えを続ける菊地政信さん(68)だ。

(菊地政信さん)「これは飽きないでコツコツやっていくのが肝心。手抜きしたところは一気に出てくる」

ここは、福島との県境にほど近い米沢市万世町の赤浜地区。江戸時代には、米沢藩に納める木材や炭を作ったり、峠越えの宿場町として栄えた。当時は30軒ほどの家があったというが、今はわずか3軒。暮らしているひとは、誰もいない。

一人また一人と山を下り、30年前には、菊地さん家族も市街地へ。今は市の教育委員会に勤める傍ら、毎日、生まれ育ったこの家の手入れを続けている。

(火をつける)いろりで火を焚き、家の中を燻すのは、屋根から虫を追い出すため。子どもの頃から変わらない朝の光景だ。

(菊地政信さん)「人が集まる場所がいろりだった。じいちゃんがたばこを吸うときにいろりの火をつけるのを見ていてかっこいいなと」

足を運ぶたび蘇るのは、幼い日の記憶だ。

(菊地政信さん)「一つ一つ子供の頃から遊んだ場所が浮かんでくる。一つの玉手箱。いろいろなところに扉があって、開けるといろんな思い出が詰まっている」

20年前、手入れを頼んでいた職人が引退、自分で茅を葺こうと決めた。子どもの頃に手伝った記憶をたどりながら、見よう見まねでの挑戦。職人と同じ「差し茅」という手法も、今ではしっかり板についた。

(菊地政信さん)「表面の腐った部分を取る」

さらにめくりあげ、奥のまだ使える部分を引き出す。

(菊地政信さん)「古いものを生かしながら、古い茅をとって新しい茅に差し替えている」

こうして屋根は、家を守る役目を取り戻していく。

たった1人で1軒全て葺き替えるには丸3年、次の年からもまた同じ工程の繰り返しだ。それでも、「人の手」がかけられ続けることで、家は生き生きとした表情を保っている。しかし、他の家は・・・

(菊地政信さん)「茅葺きの腐ったところに植物が生えてしまう。戸を開け閉めするとか人が入らないと家はダメになる」

菊地さんより年上だという持ち主は、数年前から手入れができなくなり、あっという間に家は荒れてしまった。目にするたび、菊地さんには、「自分もいつまで続けられるのか」と、老いへの不安も募る。

この日、北側の屋根の葺き替え作業が大詰めを迎えていた。

(菊地政信さん)
「仕上がった平面を見るのが、屋根を見るのが快感。雨が降ってくれると流れが良ければオッケー。でもこれ見るとまだまだあと10年かな」
(記者)「80歳になっちゃいますね」
(菊地政信さん)「じゃあ5年で仕上げないとな」

後継者を名乗り出てくる人はまだいない。それでも体力が続く限り、屋根に登ろうと決めている。

(菊地政信さん)「守り方も色々あると思う。(建て替えて)モダンな今の作りにしようという考えもあると思うが、やっぱり茅葺きが残っているのだから、それを維持するのが一つのやり方かなと。難しいことは無しにして残していこう。楽しむべと」

菊地さんはきょうも1人。赤浜の「原風景」を守り続けている。



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