小説家になろう講座だより...vol.19(2009.12.22)

 


小説家になろう講座 庄内特別講座
講師 池上冬樹・深町秋生・柚月裕子


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 さる12月12日(土)、山形県鶴岡市で、「小説家(ライター)になろう講座」が行われました。
 1997年のスタート以来、講座は山形市の会場で行われていますが、今回はじめて庄内地方に足をのばしました。12月は(8月とともに)休講にあたる月で、特別篇として出張講座をすることにしたのです。毎回東京、宮城、福島、ときには秋田や新潟から駆けつける熱心な受講生がいるのに、なぜか庄内の参加者が少ないことと、庄内で一度開催してくれないかという声もあったからです。

 今回の講師は、講座の世話役兼常任講師の文芸評論家の池上冬樹氏と、第3回「このミステリーがすごい! 大賞」の大賞受賞者の深町秋生氏、同じく、第7回「このミステリーがすごい! 大賞」の大賞受賞者、柚月裕子氏(それぞれのプロフィールはページの最後を参照)の3人です。

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  雨模様にもかかわらず、鶴岡はもとより、となりの酒田市や庄内町からの参加者もありました。年配の方が少ないのが残念でしたが、そのかわり、地元の高校生(文芸部の生徒)たちがつめかけてくれのは嬉しい驚きでした。

ikegamimoji200.jpg 池上氏曰く、「今回は、はじめての庄内講座ということもあり、山形での講座がどのように行われているかを伝えるわかりやすい内容にしました」とのこと。受講生のテキスト1本の講評と、3人の講師がそれぞれのテーマを持ち寄り講義する、という内容でした。

 受講生のテキストは、原稿用紙16枚の短編でミステリーとホラーを足して2で割ったようなストーリーのもの。作品に対する受講生の意見を聞いたあと、3人の講師それぞれの講評がありました。

 そのあと、3人の講師それぞれの講義。池上氏は、『名書き出し集』と題した、優れた書き出しの部分を抜粋した資料を用いて、小説の書き出しがいかに大切かを講義しました。

 深町氏は、作家の平山夢明氏の『いま、殺りにゆきます2』(情報センター出版局 2007年)所収の「志ね」という短編を用いて、タイトルの重要性、言葉の選び方、ミステリーとしての完成度を説明しました。

 柚月氏は、いま書いている人、これから書こうとしている人、本を読むことが好きな人、それぞれの人に向けて、好きなものを見つける大事さ、いま、世の中がなにに興味を持っているかを調べることの重要性、持論を持つことの大切さを講義しました。

 参加した受講生の人たちは、講師の話に真剣に耳を傾け、詳細なメモをとり、講義に聞き入っていました。

 

jyukouseimojituki.JPG 講座の後半は、池上氏が深町氏と柚月氏に、作家になるまでの経緯をインタビューし、両氏がそれぞれ、デビューするまでの経緯を答える形になりました。
 その後、受講生からの質疑応答に入りました。視点の問題や取材の仕方、さらには小説における舞台の問題など、現役の作家がどのように作品を書いているのか知りたいという内容の質問が出ました。講師の方々は、それぞれのやり方や考えを、真剣に答えていました。

 講座は、山形市の講座がそうであるように、真剣に、でも笑いを交えながら和気藹々と愉しく進み、参加者の熱心さもあり、予定時間を20分ほどオーバーして終了しました。
 講座終了後に、事前に配っていたアンケートを収集しましたが、結果、参加したすべての受講生が「ぜひ、また参加したい」もしくは「また庄内で行ってほしい」という回答をよせてくれました。なかには「次に講座を受けるときは、ぜひ、テキストを提出したい」という回答をよせてくれた受講生もいました。

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hukamati210].JPG 講座終了後、講師の方々に、はじめての庄内講座を終えた感想をお聞きしました。

池上氏「はじめてお会いした人がほとんどなので新鮮でした。何よりも目が輝いていて、あらためて文学によせる人たちの思いの強さを確認できたのは、とても嬉しかったです。同じ山形でも内陸と庄内では文化圏が異なりますが、文学に寄せる思いは同じで、庄内で育てられた文学者たち(たとえば丸谷才一、藤沢周平、佐藤賢一、北重人、詩人の吉野弘ほか)を思い出し、彼らに続く作家の発掘のお手伝いができればと思いました」

深町氏「はじめてということもあり、また受講生は文芸部の学生さんや山新文学賞を受賞された方など、すでに『腕に覚えあり』の人ばかりでしたので、じゃっかんの緊張を覚えました。ただそのぶん緊張感のある濃い内容になったかと思います。また、この地でできればと思っております」

 

yuduki210.JPG柚月氏「正直、こんなに熱心に聞いてくれるとは思っていませんでした。受講生の方の熱意に驚き、そして感激しました。受講生の方々の『なにかを学び取りたい』という力強い目が印象的でした。その目を見ていて、私も負けずに精進していい作品を書かなければ、と、触発されました。ぜひ、また庄内を訪れたいと思います」

 講座には、現役の作家の方々や文芸評論家、第一線の場で活動している編集者など、さまざまな講師が訪れます。その講師の方々が、文章テクニックや作品を書くうえで大切なこと、新人賞をとるコツ、読書の喜びなど、多くのことを教えてくれます。

 通えば通うほど、文章は上手くなり、書くことが楽しくなり、読書の楽しみがわかります。読書が好きな方、書くことが好きな方など、本に興味のある方は、ぜひ一度、講座に足を運んでみてください(詳細はこちら)。講座が終わったとき、「また、行きたい!」と、きっと思うはずです。
 

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講師プロフィール

◆池上冬樹(いけがみ・ふゆき)
 
 1955年山形市生まれ。立教大学日本文学科卒。文芸評論家。週刊文春、本の雑誌、ミステリマガジン、日経新聞ほかで活躍中。2004年から3年間朝日新聞書評委員。
 著書に『ヒーローたちの荒野』(本の雑誌社)、訳書にリチャード・スターク『悪党パーカー/怒りの追跡』(ハヤカワミステリ)、編著に『ミステリ・ベスト201日本篇』(新書館)、共著に『よりぬき読書相談室』(本の雑誌編集部編、本の雑誌社)ほか多数。さくらんぼ文学新人賞、ほか複数の文学賞の運営委員・下読みも担当。山形の「小説家(ライター)になろう講座」、仙台「小説家・ライター講座」(東北芸術工科大学東北文化センター主催)の世話役兼講師もつとめている。
 山形市在住。

◆深町秋生(ふかまち・あきお)
 1975年生まれ。山形県在住。
 
04年、宝島社主催の第三回「このミステリーがすごい!大賞」大賞を受賞。
06年3月「プロレス・格闘技超異人伝」で大山倍達と梶原一騎の暴力表現についてコラム。
06年11月「ヒステリック・サバイバー」出版。
07年11月「映画秘宝1月号」にて「三丁目の夕日」(が描かない昭和30年代)についてコラム。
08年6月「明治・大正・昭和・平成 実録殺人事件がわかる本」に少年ライフル魔事件と、スクールシューティングについて2本コラム。
08年8月「東京デッドクルージング」出版。
 
 ◆柚月 裕子(ゆづき・ゆうこ)

岩手県出身。山形県在住。

2008年、宝島社主催の第7回「このミステリーがすごい!大賞」において『臨床真理』で大賞を受賞。
現在、フリーライターとして、地域のタウン誌の取材、および地元テレビ局の仕事に従事している。
著作『臨床真理』(宝島社・2009年1月)。