

第2回さくらんぼ文学新人賞
応募総数554作品
三次選考を通過した作品は以下の5本です。この後、最終選考会を経て大賞作品を決定いたします。
| タイトル | 著者名 | 都道府県 |
| ホーム レス ホーム | 天野月詠 |
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| 南国飄飄 | 古内一絵 | 東京都 |
| 叙情的な癒し | 二本松泰子 | 東京都 |
| 熊猫(ぱんだ)の囁き | 邢 彦 |
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| 愛の行為 | 齋藤きあ | 愛知県 |
※作品順不同
『3次選考を終えて』
2次選考で選ばれた10本から候補作5本に絞る第3次選考会議は、9月30日、新潮社の会議室で行われた。新潮社から6人、主催側から1人、運営委員の池上の計8名で討論を行った。
まず、昨年同様、主催者側から、今回の作品の良し悪しだけでなく、継続的に作品を発表できるだけの潜在的な能力をもっているかどうかまでみきわめて選んでほしいという要望が出され、それを確認した上で選考が行われた。
昨年よりもレベルが高いこと、ただしジャンル的にはやや広がりにかけ、作者にとって身近な話を小説にしている例が多いなどと、今年度の印象を語り合ったうえで、まず、1回目の投票に移った。強く推したい作品に○、推したい作品に△をつけることにし、それぞれ○は3個、△2個とした。
その結果、8人中6人が○をつけた「熊猫の囁き」、5個の○と△1個の「愛の行為」、3個の○と5個の△(つまり全員が推した)「ホーム レス ホーム」が抜け出した。この3作に対する否定もほとんどなく、まずは5本のうち3本がすんなりと決定した。
同時に、票を集めなかった「ピース」と「少女とナイフ」、それから、○が2個ついたものの賛同者がおらず、描写がよくてもストーリーが定型であるという批判が出た「映画女優」も落ちることになった。
残りは、「明日の奇跡」(○1、△3)、「南国飄飄」(○2、△2)、「叙情的な癒し」(○1、△5)、「骨」(○4)の4作。ここから侃々諤々の議論がはじまった。×はつけなかったが、それぞれに反対する意見も強く、難航した。
まず、「明日の奇跡」。安定して読めるし筆力がある、性と死という重いテーマをうまく盛り込んでいるという評価する声と、いや、性と死のテーマを安直に結びつけている、病気の医者の設定が作りすぎているという強い反対も出た。
次に「南国飄飄」。文章がいい、戦争体験をうまく書いていると称賛する声があれば、それしかないではないか、そもそも南国にいって癒される発想そのものが古い、男女のふたつの話がうまくかみあわないという反対意見も出た。
「叙情的な癒し」に関しては、語り口もキャラクターもいいけれど、着地が悪いし、そもそもタイトルのつけ方が論外ではないか。
「骨」は、文章がよい、場面場面が印象的で、それがテーマと密接に結びついているという声と、しかしフラッシュバックばかりで少しも現在の話が動かないではないか、場面の切り貼りではないかという意見も出た。
議論が膠着したので、二回目の投票に移り、それぞれ○を2個つけることになった。
その結果、「南国飄飄」7票、「明日の奇跡」4票、「叙情的な癒し」3票、「骨」2票となり、まず一歩抜け出した「南国飄飄」を残すことにした。あとは1作。
それぞれの作品の長所、欠点、筆力などを考えたうえで、さらなる議論を重ねたが、それでもまとまらず、三回目の投票に移った。持ち点は各自1票。
その結果、「叙情的な癒し」4票、「骨」3票、「明日の奇跡」1票となり、残る1作を「叙情的な癒し」にした。
(さくらんぼ文学新人賞運営委員 池上冬樹)