第2回「さくらんぼ文学新人賞」二次選考通過作品

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第2回さくらんぼ文学新人賞
応募総数554作品

二次選考を通過した作品は以下の10本です。
なお、三次選考の結果は10月中旬頃に発表いたします。

※作品順不同
※コメント最後の( )内署名についてはページ下の「二次選考であがった声」を参照。


タイトル著者名コメント
明日の奇跡 葉丸みか


2次に残った作品の中で、もっとも心動かされた。作り物めいたプロットを感動的なドラマに昇華させた手腕を、高く評価する。(茶)
 

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キャラ良し、会話良し、プロット良し、ラスト良し。もう、堂々たる書きっぷり。エンタメとして文句なしに素晴らしい!(茶)
 

 ピース[piece] 山口奇蘭
ありがちなテーマ、ありがちな展開にもかかわらず、じっくり読ませる。女子的感性が光る作品。(茶)
 
 南国飄飄 古内一絵
戦争時代を回想する男と、旅をする若い女性との絡みがもうひとつではあるものの、戦争をめぐる男の人生の変転がたんたんと描かれていて印象的。隠された秘話の扱いもいいし、複雑な父と息子の関係の描出も悪くない。(池)
 
 叙情的な癒し 二本松泰子
前半の劇団でのエピソードが実に読ませた。落語家と主人公の距離の置き方もいい。凡庸な収束が惜しまれる。(茶)
 
 熊猫(ぱんだ)の囁き 邢彦
中国から日本に帰化した女性の辛い現実を、喚起力ある文体でこまやかに捉えている。ヒロインを客観視するさめた視点も、テーマにそった細部の連繋もいい。(池)
 
 映画女優 原村美杉
昭和という時代と女優の成功譚が過不足なく描かれてあるし、何よりもこの厭味な女優のキャラクターが秀逸。マネージャーがみた女優の尊大さ、わがまま、嫉妬、自惚れの描き方もうまいし、ラストの女優の一言と意外なオチも面白い。(池)
 
 少女とナイフ 武原一仔
半径数メートルの話ばかり多いなかで、少女の視点からミステリを書く、という志が嬉しいし、まずまず成功しているのではないか。犯人の動機も、それを受け止める関係者、なかでも少女のまなざしがいい。(池)
 
 愛の行為 齋藤きあ
昨年の最終候補に残った女性の新作。昨年のホラーと比べるとずいぶんおとなしいし、死と誕生をめぐるラブストーリーがやや優等生的に描かれてあるが、それでもユーモアを忘れない語り口と、飄々としたキャラクター描写が一歩抜けている。(池)
 
 骨 池子とら
今回読んだ中では、もっとも文学的センスを感じさせる作品。壊れていく家庭の描写にさらなる迫真性が加われば……。(茶)
 

 


【二次選考であがった声】

◆昨年の第1回より、よりレベルの高い作品が揃った。2次に残った作品の大半は、身の回りの私小説的作品ではなく、少なくとも読者の目を意識した「小説」になっている。仕事を忘れて楽しめた作品に多く出会えたのが、最大の収穫である。(茶木則雄)

◆昨年は時代小説からミステリ、ホラー、SFまで幅広いジャンルが集まったが、今年は自分の体験談や身の回りに起きた事柄を書いてみました、という作品が多かった。明らかにフィクションを作るという意識が低い。言葉をかえるなら、自分は作家になるんだ、という強い志を感じさせるものが少なかった。
 いっぽうで、語り口は面白いが、ストーリーが弱いという作品は、僕は低く評価した(ちなみに26本から10本に絞り込む作業は、僕と茶木則雄がベスト13位まで選び、二人の採点の合計で上から選んだ)。下手な文章も、書いているうちにだんだんとうまくなるように、語るべきものをもたなくても、書いているうちに語り口は(多少)うまくなるからである。
語るべきストーリーがあり、訴えたいテーマがあり、なおかつ語り口もキャラクターもいい、という基準で選んだ。もうひとつ個性という点も加味したが、今年はジャンル的にもそうだが、個性的な作風がやや少なかった(選ばれた10本は別だが)。
どこの新人賞もそうですが、もっと自由に果敢に挑戦してください。こぢんまりとまとまっている作品より破綻があっても力強い作品のほうが魅力的です。(池上冬樹)